保険金不払い問題への対応に追われ業績不振が鮮明となる中で、基幹商品で一定の収益を確保する狙いがある。ただ、国内自動車販売の低迷や少子高齢化などの影響で自動車保険は長期低迷が続いており、保険料値上げが効果を発揮するかどうかは不透明だ。
◆7年ぶり◆
今回の値上げ局面で先行したのは損害保険ジャパンで、今年4月の新商品導入に合わせて保険料を平均で約1%引き上げた。7月に入り、東京海上日動火災保険が平均1・5%、三井住友海上火災保険が同1%強を値上げし、大手3社が足並みをそろえた。今後、追随する社も出るとみられる。
東京海上日動の場合、「30歳以上で対物・対人が無制限、人身傷害が3000万円、車両保険なし」という標準的なタイプで、年間保険料が0・6%高い4万2660円となった。ただ、他の2社も含め、条件によっては保険料が下がる場合もある。同社は、ほぼ7年ぶりの自動車保険料引き上げに踏み切った理由を「補償を手厚くしたため」と説明する。
◆囲い込み◆
各社は同時に、「ゴールド免許」保有者に対する割引や、長期間無事故の契約者に対する優遇制度を充実させるなどして優良ドライバーの囲い込みを強化。支払う保険金を低く抑えるよう努めている。
自動車保険は、国内損保の本業の売上高にあたる正味収入保険料のほぼ半分を占める“ドル箱”だ。保険金不払い問題への対応で新規契約の獲得がままならない損保各社にとって、自動車保険の立て直しは最大の課題となっている。
◆じり貧◆
ただ、自動車保険料収入はじり貧状態が続いている。日本損害保険協会によると、2007年度の国内損保の自動車保険料収入は3兆5026億円で、97年度比で5・3%減少した。
最大の理由は自動車販売の落ち込みだ。08年1〜6月の新車販売台数(軽乗用車を含む)は前年同期比2%減の278万台となり、24年ぶりに280万台を割り込んだ。最近のガソリン価格高騰に伴う車離れも加わり、契約者の伸び悩みは解消できていない。
さらに、少子高齢化によって、事故を起こす確率が高いとして保険料が割高に設定される若年ドライバーの減少も響いている。「何も手を打たなければ、加入者数が減らなくても自動的に減収となる」(大手損保幹部)のが実情だ。
保険料値上げが、契約離れにつながる懸念もくすぶる。業界内からは「限られたパイの中で、収益を減少させないよう契約を維持するのが精いっぱい」(大手損保)との悲鳴も漏れる。
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